アンチエイジングとは?若々しさと健康長寿を目指す具体的な方法
「最近、鏡を見てため息が増えた」「以前より疲れやすくなった」と感じていませんか? 年齢を重ねることで心身の変化を感じるのは自然なことです。
そんな中で注目される「アンチエイジング」ですが、単に老化にあらがうことだけを指すのではありません。
アンチエイジングの本当の目的は、老化のスピードを緩やかにし、年齢を重ねても自分らしく健康で若々しい毎日を送る「健康長寿」を目指すことにあります。
この記事では、アンチエイジングの正しい知識に基づき、今日から生活に取り入れられるセルフケアから、一歩進んだ美容医療という選択肢まで、専門家の知見を交えて分かりやすく解説します。
1. アンチエイジングとは?その本当の目的を解説
私たちが「アンチエイジング」と聞くと、シミやしわのケアといった「美容」の側面をイメージするかもしれません。
しかし、本来の意味はそれだけにとどまりません。
目次
1-1. 「抗加齢」だけではないアンチエイジングの意味
アンチエイジングは「抗加齢」と訳されるとおり、年齢に伴う心身の変化に対し、その進行を緩やかにするための取り組み全般を指します。
重要なのは、それが「見た目の若々しさを保つ」ことだけを目的としていない点です。
アンチエイジングは「健康長寿」を目指すための積極的な予防医学としての側面を持っています。
年齢とともにリスクが高まるといわれる生活習慣病や、筋力・骨の衰えといった課題に対し、早期から積極的にアプローチすること。
単に長生きするだけでなく、最期まで自立し、自分らしい生活を楽しむ。
それにより、病気になりにくい健やかな体を維持し、活動的な生活を長く続けることこそが、アンチエイジングの本当の目的なのです。
1-2. 見た目の若々しさと健康寿命の関係
「見た目が若い人は、実際に健康である」という考え方があります。
肌にハリやツヤがある、髪が豊かであるといった外見的な若々しさは、その人の栄養状態、運動習慣、睡眠の質といった内面的な健康状態が反映された結果と捉えられます。
日々の生活習慣が整っている人は、内臓機能や血管の状態も健やかに保たれている可能性が高いといえます。
つまり、見た目の若々しさを保つための努力は、結果として肉体年齢の健やかさを維持し、将来的な「健康寿命(自立して活動的に生活できる期間)」を延ばすことにもつながっていくと考えられています。
1-3. 「エイジングケア」との言葉の違い
アンチエイジングとほぼ同義で使われる言葉に「エイジングケア」があります。
この使い分けの背景には「薬機法(旧・薬事法)」があります。
日本では、化粧品や健康食品の広告において、病気の診断、治療、予防につながる表現や、身体の機能を変えるような表現(例:「老化を防ぐ」「細胞が若返る」)は認められていません。
「アンチエイジング(抗加齢)」という言葉は、この「老化を防ぐ」というニュアンスを強く持つため、特に化粧品の分野では使用が制限されています。
そこで代替表現として使われるのが、「エイジングケア(年齢に応じたお手入れ)」という言葉です。
これは、「老化そのものにあらがう」という意味ではなく、「年齢を重ねた現在の肌の状態に合わせて、保湿やハリのお手入れをしましょう」という、より穏やかなケアの概念を示す言葉として定着しています。
2. なぜ老化は進むのか?肌に影響する主な3つの原因
アンチエイジングに取り組む前に、私たちがなぜ「老い」を感じるのか、そのメカニズムを知ることが大切です。
ここでは特に、見た目の印象を左右する「肌」に影響する主な3つの原因を解説します。
2-1. 紫外線による「光老化」と活性酸素
肌の老化原因のうち、約8割は紫外線によるダメージ、すなわち「光老化」といわれています。
私たちが紫外線を浴びると、肌を守るために「活性酸素」が発生します。
この活性酸素が過剰に発生すると正常な細胞まで傷つけ、肌のハリを支えるコラーゲンやエラスチンといった線維にダメージを与えてしまいます。
これが長年にわたり蓄積することで、深いしわやたるみ、シミといった「光老化」のサインとして現れてくるのです。
2-2. 乾燥によるバリア機能の低下
健やかな肌は、表面の「角層」が水分を保持し、外部の刺激から内部を守る「バリア機能」を持っています。
しかし、加齢や間違ったスキンケア、空気の乾燥などで肌表面の水分が失われると、このバリア機能が低下します。
バリア機能が低下すると、外部刺激を受けやすくなるだけでなく、内部の水分も蒸発しやすいという悪循環に陥ります。
また、肌の乾燥は、肌細胞が生まれ変わる「ターンオーバー」の乱れにもつながり、古い角質が排出されにくくなり、くすみやごわつきの原因ともなります。
2-3. 肌の土台となる骨・筋肉・脂肪の変化
しわやたるみは、肌の表面(表皮・真皮)だけの問題ではありません。
その土台となる骨・筋肉・皮下脂肪の変化も大きく関わっています。
骨の萎縮:年齢を重ねると、顔の骨(特に目のまわりや頬)も徐々に萎縮します。骨が縮むと皮膚や脂肪が余り、たるみや深いくぼみとなります。
筋肉の衰え:顔の表情をつくる「表情筋」も、加齢や使われ方のクセによって衰え、皮膚を支える力が弱まり、たるみにつながります。
皮下脂肪の移動:若い頃は頬の高い位置にある皮下脂肪も、加齢とともに下垂(下に移動)し、ほうれい線やマリオネットラインが目立つようになります。
このように、老化は皮膚表面だけでなく、その下にある組織の立体的な変化によって引き起こされています。
3. 今日から実践!日常生活で取り組めるセルフケア習慣

アンチエイジングは、特別なことばかりではありません。
日々の生活習慣を見直すことこそが、健康長寿への第一歩です。
ここでは、今日から実践できる4つのセルフケア習慣を紹介します。
3-1. 内側から整える「食事」と「水分補補給」
私たちの体は、食べたもの、飲んだものでつくられています。
バランスのよい食事
特定の食品に偏らず、多様な食材をバランスよくとることが基本です。
たんぱく質、脂質、炭水化物の3大栄養素に加え、体の調子を整えるビタミンやミネラルを意識しましょう。
例えば、緑黄色野菜や果物などに含まれるビタミン類やポリフェノールは、健やかなコンディション維持のサポートとして知られます。
特定の食材に偏らず、旬の野菜や発酵食品なども取り入れながら、これらを毎日の食事に彩りとして加えることをおすすめします。
意識的な水分補給
体内の水分量は、健康状態を左右する重要な要素です。
年齢とともに体内の水分は減少しやすいため、喉の渇きを感じる前に意識的に水分補給する習慣が大切です。
一度に多く飲むより、起床時や食事中、入浴前後など、コップ1杯程度の量をこまめに飲むよう心がけましょう。
3-2. 健やかさを保つ「運動」と「睡眠」
適度な運動と質の高い睡眠は、健やかな体を維持するために不可欠です。
無理のない運動習慣
運動は、筋力の維持だけでなく、心肺機能のサポートや、気分転換にも役立ちます。
有酸素運動:ウォーキングや水泳など、軽く息が弾む程度の運動は、体力維持をサポートします。
筋力トレーニング:スクワットなど大きな筋肉を鍛えることは、基礎的な筋力を保ち、活動的な毎日を支えます。
まずは階段を使うなど、無理なく継続できることから始めましょう。
質の高い睡眠
睡眠中は、日中の活動で受けたダメージを修復し、体のコンディションを整える大切な時間です。
睡眠不足は心身のバランスを崩しやすくします。
睡眠時間は6~7時間が適正といわれています。
また、単に長く寝るだけでなく「質」も重要です。
就寝前のスマートフォンを控える、寝室の温度を快適に保つなど、深く眠れる環境を整えましょう。
3-3. 肌の状態を保つ基本の「スキンケア」
肌のアンチエイジング(エイジングケア)において、もっとも重要なセルフケアは「紫外線対策」と「保湿」です。
一年を通じた紫外線対策
光老化を防ぐため、紫外線対策は夏場だけでなく一年中必要です。
室内で過ごす日でも日焼け止めを塗る習慣をつけ、帽子や日傘なども活用しましょう。
バリア機能を守る保湿
乾燥はあらゆる肌トラブルの引き金になります。
洗顔後はすぐに化粧水で水分を補い、乳液やクリームなどの油分でフタをして、水分の蒸発を防ぎましょう。
3-4. ポジティブな気持ちを保つ「笑顔」の力
心のあり方も、体の状態に影響を与えるといわれています。
過度なストレスは、自律神経のバランスを乱し、心身のコンディション低下につながることがあります。
一方、「笑うこと」は、気分をリフレッシュさせ、ポジティブな気持ちを保つサポートになるといわれています。
趣味の時間や友人との会話など、日常生活の中で「笑う」機会を意識的に増やすことも、取り組みの一つです。
4. より積極的なケアを考える方へ。
美容医療という選択肢
セルフケアを続けていても、加齢によって生じる深いしわやたるみなど、自分だけでは対応が難しい悩みも出てきます。
そうした悩みに、より専門的なアプローチで応えるのが「美容医療」です。
4-1. 美容医療でできることとは
美容医療は、医師の管理のもと、医療機器や薬剤を用いて行われる専門的なケアです。
セルフケアが主に肌の表面(角層)へのアプローチであるのに対し、美容医療は、肌の奥深く(真皮層)や、さらに下の筋肉、脂肪層などにまでアプローチできるのが大きな違いです。
セルフケアが「予防」を中心とした取り組みであるとすれば、美容医療は、すでに現れている変化に対して、より積極的な「改善」を目指す選択肢といえます。
4-2. アンチエイジングで人気の施術例
現在、アンチエイジングを目的とした美容医療には、さまざまな選択肢があります。
ここでは代表的なものを中立的に紹介します。
ヒアルロン酸注入:
ヒアルロン酸を主成分とした製剤を、しわやたるみが気になる部分に注入し、くぼみを内側から持ち上げボリュームを補うアプローチです。
レーザー治療・光治療:
特定の波長の光やレーザーを肌に照射します。
シミの原因となるメラニンにアプローチするものや、真皮層に熱を加えてコラーゲン生成をサポートし、肌のハリ感アップを目指すものなど種類が豊富です。
HIFU(ハイフ、高密度焦点式超音波):
高密度の超音波エネルギーを、皮膚の土台である筋膜(SMAS層)にまで届ける施術です。
熱エネルギーによって組織を引き締め、たるみの改善を目指すアプローチとして注目されています。
これらは一例であり、それぞれに特徴やダウンタイム(施術後の回復期間)、リスクがあります。
4-3. 対策を始める前に大切なこと
美容医療を検討する上でもっとも大切なのは、「信頼できる医師に相談すること」です。
自分の悩みが、どのような原因(皮膚、脂肪、骨格など)で起きているのかを正しく診断してもらう必要があります。
まずはカウンセリングを受け、医師からの説明(施術内容、メリット、デメリット、リスク、費用)に十分に納得した上で判断することが重要です。
一つのクリニックだけでなく複数のクリニックで相談し、自分にもっとも合うと感じる医師や方針を見つけることも賢明な方法です。
まとめ
アンチエイジングとは、若さに固執することではなく、食事や運動、睡眠といった日々の習慣を見直し、心身ともに健やかな状態を長く保つための前向きな取り組みです。
まずはご自身の生活を見直し、できることからセルフケアを始めてみましょう。
特に、体の内側から健やかさを育む「インナーケア」は、アンチエイジングの基本です。
私たちの体の約60%は水分であり、何を飲むかは非常に重要です。
老化の一因ともいわれる「酸化」という状態への、日々の健やかな生活を送るための一つのアプローチとして、毎日の水分補給の「質」に目を向けてみてはいかがでしょうか。
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